2003/06/29
横浜はまたしても負けたが(タロー,バスケ,ミャータの阪神ファン3氏は試合終了までネットでトレースし,点が入るたびにオレの部屋にメモを滑り込ませやがった),空は雲一つないピーカン。向かいの「PALISADE'S MARKET」でできあいのお惣菜みたいな食いモノを買って来て朝食にし,再びワイナリー行脚を開始する。
まず最初は昨夜のディナーでワインリストにあったがちと高価過ぎて選ばなかった白ワインのワイナリー「PRIDE MOUNTAIN」。店のお姉さんの話によればこのワイナリーはソノマとナパの境界の丘の上なのだそうで,テイスティングと同時にその素晴らしい眺めも楽しめる。日頃の運動不足を痛感しながら丘を登ってその景観を満喫,丘の上のほうのワイナリーは日が高くなっても涼しくていい。
昼は昨日と同じように,道路沿いのスーパーでソーセージやスシ,サラダなどを買い込み,庭にテーブルのあるワイナリーでピクニック。午後イチで訪れたのは3年前にも行ったスパークリング・ワインの「MUMM」,続いて宿泊先にほど近いロープウェイのあるワイナリー「STELING VINEYARDS」に寄り,晩飯に備えていったんホテルに戻る。
最後のディナーは一昨年ランチで使ったCIA(Culinary Institute of America)のレストラン,メイン料理に取ったポークチョップに隠し味として醤油が使ってあるかどうかで論争になる。使ってる派(ワタシとコイケさん)は絶対の自信を持って勝負に挑んだがウェイター君が持って来てくれたレシピにその記述はなく連合軍の勝利,諦めきれぬ我々同盟軍はタロー君の「このレシピを元に後日作ってみましょう」という言葉に捲土重来を期すことにする。なぁに醤油入れずに同じ味になるものか。
例によってデザートにシガーを取り,ひさびさのニコチンに酔ってホテルに戻る。その後深夜までビールなど飲みながら,タイガースファン3名(前述)と3月にやったイベント「FoX」について来年もやろうなどと語り合う。……野球のない夜は心穏やかに過ぎて行くなぁ。
2003/06/28
6時半に鳴った目覚ましで起きて,とりあえずネットに繋ぐと横浜はまたしても逆転負けしており,7時半集合は8時に訂正されていた。バスケ君,タナカタロー君運転の2台に分乗し,飯も食わずに一路ナパに向かう。そのまま1軒「JOcid:logoimg25PH PHELPS」というワイナリーでテイスティング。すきっ腹に酒を入れたのでちとフラフラする。
晩はヒールズバーグという町のちゃんとしたレストランを予約してあり,これが比較的早い時間だというので,昼飯は軽く簡単に,道路ぞいのスーパーで買ったサンドイッチを,とあるワイナリーのピリクニック用ベンチでパクつくことにする。一応ベンチには「このワイナリーで買ったモノを飲み食いするヒトだけね」と書いてあるのに無視して食事をしていると,バスケ君の腕にトリの糞が落下した。天網恢々疎にして漏らさず。次に向かったのは「OPUS ONE」,1杯25ドルのテイスティングは高いなぁと毎回思うのだが,それを払って飲んでみるとまたその価値はあるなぁと思うのである。
午後4時半,ホテルに荷物を入れもう1軒ワイナリーをまわったあとでヒールズバーグの町に到着,予約の5時15分まであたりを散策。リタイヤした老人などが多く住む町なのか落ち着いた雰囲気。そして晩飯,レストラン「Dry Creek Kitchen」の料理は抜群。いや正直に言ってワシ,こんな旨いアヒル料理を食ったのは初めてである。値段ももちろんそれなりだけれど前菜のコーンスープからアヒルのロースト,写真のデザートのシャーベットまで感動の連続。店の雰囲気も良く,他の料理を食ったヒトも皆満足,幸せな気持ちで宿に帰る。
2003/06/27
WWDC最終日,例年この最終日にはフィードバックセッションなど集中し,帰る人は帰ってしまって閑散となるのだが,今年はなぜか人が減らない。ようよう祭りの後の寂しさが感じられたのは午後4時半を過ぎて最後のセッションを残すのみとなったころであった。
最終セッション後,例によって元アップルのピーター・ハウディ夫妻と待ち合わせ。市内の……東西折衷料理とでもいうのかな,「CAFE KATI」なる店で晩餐。ウェイターがタナカタロー君の料理にワインをこぼし,替えの料理とお詫びの白ワインを持って来るも,このワインにはムラマツさんから「まずい!」の大声判定。一同瞬間石化するも日本語が分かる店員,他の客はおらず事無きを得る。
なんでもこの店,白金にある都ホテルの1Fに「CAFE California」という支店だか姉妹店だかを出しているらしいのだが,オーナーと称する短パンに野球帽のおっさん(「エイリアン」に出て来る下級船員に似てた)はえらく気さくで,とても太平洋をマタにかけてレストランを開いているようには見えなかった。へぇ。
食事後,これから飲みに行くというバスケ君たちをよそにワタシとイノウエさんは部屋に戻って荷造りをする。昨夜も遅かったのに最終日の今日も朝9時からセッションがあったので眠し。明日は7時半にロビーに集合し,帰国するツアー組と別れてナパ・ソノマへ向かう予定。ネットでベイスターズ1点リードを確認して寝る。
2003/06/26
木曜日,WWDC4日目。いきなり気温が上がって今までの服装では暑くてたまらぬ。……まさかその気温のせいでもなかろうがセッションも低調,午後に聞いた2つのセッションなどともに30分ほどで質疑応答に入ってしまった。まぁ,発表できる新機能テンコ盛りの分野もあればそうでないトコロもあるのは解るけれど。
5時過ぎにモスコーニ・ウエスト横から(ちょうど昨日のイタリヤ料理屋の前辺りだ)バスに乗ってクパティーノのアップルへ向かう。WWDC恒例のビア・バッシュ。今年の出演はFiction Planeというイギリスの若いバンド。聞けばヴォーカルのセーネンがあのスティングの息子だとかで顔も声もちょっと似てるかな。
曲はなんつうか,元気のいいロックなんだが,まだ自分達が憧れて来た先行のバンドの影響をうまく脱し切っていないという印象,簡単に言うと曲ごと誰のなんていう曲にインスパイアされたものか解ってしまう,感じ。けしてパクリというわけではないんだが,自分達のバンドの音ちうのがまだ出来上がってないんだな。でも演奏はとても巧いので将来有望かも。
演奏が一段落したところでアップルのカンパニー・ストアへ。軽く土産モノなど見繕い,今回お目当ての「AirPort Extream」とそれ対応の「AirPort Card」に手を伸ばすとアンドリューから「それ,フジモトさんのiBookでは使えないっすよ」との声,ウソ。我が陣営の命運を賭けた高速無線LAN構築 & 独立プリンタサーバ計画はあえなく頓挫し,そこに「それよかフジモトさん,iPod 15Gbがお得ですよ,お得」というアクマの声が……。とっぷりと日も暮れた11時頃,ホテルのドアをくぐる私の手には15GbのiPodの箱がありましたとさ,どっとはらい。
2003/06/25
WWDC3日目,セッションの合間に持参した軽い読みモノの文庫本・2冊目「ああ勝負師」(阿佐田哲也著)を読み終えてしまう。残るは1冊,これも阿佐田哲也なんだが,帰りの飛行機のことを考えるとちと読み残しておきたい気もする……。まぁいいや,とりあえずは読み終えた本の話。
例によって博打とその周辺の人々に材を採った短編集。最初に読んだのは学生時代である。その頃は色川武大としての仕事をほとんど知らず,博打と言っても競馬や競輪は未経験だったから,「麻雀放浪記」の外伝めいた話ばかりに気がいっていたのだろうな。今読むと,あまり覚えの無い競輪ものなどに佳作が多い。
特に最終レース12,000円の大穴を当てながら,車券を買いにやった女の裏切りにあって呆然とする予想屋の話「大デブ氏の勝運」はそのまま短編映画にしたいような絶品で,もしそんなものが編纂されるとすれば「日本競輪小説傑作集」には絶対入るべき一編である。諸兄,未読であれば是非読まれたし,人生の味がする小説集であります。
それにしてもこのテの,かつては読み捨てるようにしていた本こそが,わが人生後半戦,座右にあってほしい本であることに感慨を禁じ得ない。かつてこの本を古本屋に売った時,選り分けて残したあの本をあれから一度でも繙いたか,この本のページを一度でも開いたかと自らに問うとき,当時の自分の未熟が恥ずかしく,また同時に微笑ましくも思えるのである。
……いや,WWDCで同時通訳をやってる人たちの通訳としての腕前をどうこういうわけぢゃないが(その資格も無いが),出て来る専門用語に関してはある程度事前にレクチャーしておいて欲しいもんである。Windowの複数形としてのWindowsを逐次「ウィンドウズ」と訳されると,なにっと思うし,コンパイラのセッションでSymbolをさかんに「記号」と言ってたのも辛かった。それからこれははっきりなんかの勘違いだと思うが,Rectangleを全部「正方形」と翻訳する兄ちゃんには誰か教えてやって欲しいぞ。
晩飯はモスコーニごく近くのイタリア料理屋「BUCA di BEPPO」。写真のカラマリなんとか,魚介類のスパゲティなど食って満腹す。1品だけ,注文した側と店側に定義の異なる料理があり(ワシは料理にはとんとウトイのでこの顛末を詳しく書けないが,野菜が入っていてはいけないとか入っていなくてはいけないとかニンジンがでかいとかもっとでかく切れとかそういう話だった……と思う),すわVISAカードCFの再現か大立ち回りかと皆が首をすくめて様子をうかがう緊迫した場面があったが,ウェイターの兄ちゃんが危険を察して下手に出たため大事には至らず,一同胸を撫で下ろす,めでたしめでたし。
2003/06/24
WWDC2日目,例によってセッション内容については書けないので,ごくごく表面的な感想以外は昼飯にナニを食った晩飯はナニを食ったになってしまう。書いているほうもそれなりに不本意ではあるのだが,午前9時から午後6時半までセッション漬けの身の上ではそうそう面白い話も仕入れられぬ。ご退屈の向きにはあと1週間ほど辛抱をお願いしておく。
……というわけで以下が本日の表面的なるセッションの感想。ひとつ,QuickTimeの説明をするにいちゃんは相変わらず良く喋る。ひとつ,XCodeがJAVAをサポートするのはPantherのGMでってことだがJavaBridgeはどうなるの?(これはあとで確認しなくちゃ) ひとつ,Apple Helpが驚異的に速くなったぞってSafariと同じWeb Kitを使ってるだけやないか,責任者デテコーイ。ひとつ,Unicodeチームは頑張ったなぁ,イサヤマ君がよろこびそうだ……と思ったら日本のアドビからAcrobat6.0がヘンなのはAppleのせいでウチのせいぢゃない,とメールが(笑)。
ふう,あとはモノを食った話になる。朝飯は会場にあったクロワッサンとコーヒー,コーヒーは泥水だがクロワッサンはイケる。昼飯は旧知アップルエンプロイーのアンドリューとともにモスコーニ近くのメキシコ料理屋「Chevy's Fresh Mex」,量がべらぼうに多くてとても食いきれないのが「食いモノを残すな」と言われて育ったワタシにはちとひっかかるが味は良し。世界各地の餓えた子供達ごめんなさい許して下さい,と呟きながら皿の2/3を残す。
晩はアンドリューの友人お勧めの「cid:logoimg6's」という,サンフランシスコの郊外コートランド・アベニューにあるスシ屋に総勢10名でくり出した。事前に「日本の寿司だと思っちゃいけません。カリフォルニアのお米料理だと思っていけば楽しめます」などと複雑なことを言われていたのだが,なるほどそれは言い得て妙。鮭とアスパラガスの天ぷらを紫蘇の葉と巻いたJojo's Roll,鮪とアボガト,トビコにタマネギなどを海苔で巻いて天ぷらにした(まぁ寿司ではないわな)Ecstacy Rollなど堪能す。
2003/06/23
2003年WWDC初日,午前10時から始まるスティーブ・ジョブスのキーノート・スピーチのため,8時半に会場に行くも既に大混雑。しかし朝飯として恒例の「甘いパンすごく甘いパンともっと甘いパン」ではなく,クロワッサンやベーグルも置いてあって吉。バナナを1本,一瞬これを皮ごと頬張るケビン・スペイシーが脳裏をよぎるがやっぱりあの真似はできないと思う。あれはチャップリンの靴食い,ジョン・ベルーシのビッグマック一口食いと並んでまさに映画史上三大モノ食い演技と言うべきもんだな。
WWDCの開催を1月遅らせて満を持したジョブスの発表は期待を裏切らぬモノ,Mac OS X 10.3「Panther」のテンコ盛りの新機能や参加者全員(ただし社員とスピーカーは別)におみやげとして配られた「iSight」もさることながら,やはりオドロキはDual G5の怪物マシンだ。守秘義務に抵触するかもしれないので詳しくは書けないが,なんというか必殺「頭ごなし」という感じのウルトラパワーが$2,999で手に入っちゃうのだ。ビツクリ。
昼の休憩にホテルに戻り,早速iChat AVをダウンロードして「iSight」を試す。……が,あろうことかオレのiBook(Dual USBの最初の型,500MHz)ではビデオカンファレンスは行えないではないか。聞けばクロック600MHz以上のマシンでないと駄目なのだそうだ……。一応同室のイノウエさんのPBG4に接続して「iSight」自体の動作チェックはしたものの,怪物PowerMacより前にG4のポータブルマシンが眼前にちらつく。
昼過ぎのセッションは3つ,英語疲れのドタマを肩に乗せて7時近くに会場を後に。コイケさん,ミヤタさんなど一同で昨夜キヤノンのスミオさんに教えてもらった中華街のレストランに向かう。北京ダック,麻婆豆腐,紙焼鶏などをチンタオビールで流し込んで大満足。フォーチュン・クッキーの中身は「プランを変える準備をしておきなさい」……あれのことかしらこれのことかしら,ちょっと意味深である。
お,そうそうわすれるところだった。Safariのv1.0がリリースされたが,以前レポートしたJavascriptのDate Objectのバグ(正しく初期化できない)が治ってない。他にレポートしたやつはいないのかな。……ココロあるヒトは私の作ったサンプルページを添えてバグレポを送られたし。これ,IEとかではちゃんと動くよ。
2003/06/22
日暮里に向かう山手線の車中で読みはじめた「百億の昼と千億の夜」(光瀬龍)読了。学生時代に一度読んでいるのだが,数年前に本屋でみかけて衝動買いしたもの。ヘンなもンで,そこにあっていつでも読めるとなるとなかなか手が出ず,長いこと本棚のスミで塩漬け状態だった。今回の洋行にあたって未読の文庫本(単行本はかさばるからね)を並べて持って行く本を選んだ際,おお,そういえばこれをまだ読んでいなかったと見つけたのである。
日本SFの古典中の古典と言えばそうであり,この宇宙がビッグバン以来膨張を続けているとしてその外側はどうなっているのか,というのは落語にも通じる根源的な問いであり。その問題を繙くにあたってプラトン,釈迦,キリストなどの歴史上の人物を配したバランスも見事。このテの与太話のスケールの大きさを競えば古今東西ナンバーワンかも知れぬ。
最新の(と言ってもオレの知る限りだが)の物理学的知見に照らせば若干無理のある記述も散見できるような気がするが,ZEN-ZENの眠れる市民の姿は「マトリックス」を想起させるし,悲しいことだがTOKYOシティ荒廃の未来図にもある程度のリアリティを感じさせる。宗教の発生をこうした視線で捕らえることができるのも,そうした視点に基づく物語が多くの読者に受け入れられるのも,作者が日本人である故であろうか。
日曜日のサンフランシスコ,昼頃塒からでてコイケ夫妻,バスケ君,イノウエさんに日経のハヤシさんというメンツ,ベイ・ブリッジ近くのレストラン「スランティド・ドア」で昼食。ベトナム料理旨し。そのまま湾岸を散策し,ホテル近場のCompuUSAでマウスパッドを買って戻る。
1時間ほど昼寝,午後6時より隣のアージェント・ホテルで日本から参加のデベロッパーを対象にしたレセプション。マックピープルに記事を書いているハヤシ氏に逢ったので掲載誌が送られて来ないことを伝える。岡山のタケウチさんらに阪神自慢をされ悔し涙を流す。セレシスのプログラマー・マエカワ氏などとの会話面白し。
……パーティ終了後,コイケ夫妻,バスケ君,ムラキ青年,イノウエさん,今日ついた宮田さんにキヤノンの角尾さん,それに私の6名でユニオンスクエア近くのタイ料理店に。トムヤムクン美味なり。一同満腹のため,カリー料理を試みることができなかったが,またそうした機会があればと思う。いよいよ明日からWWDC,誰やらにキーノートスピーチの混雑ぶりを言われるが,行列は嫌い。基本的に聞くことが出来ればよしと思いつつ就寝せんとする現在時間は午前1時35分。
誰が街に熱い時間夏を歌う
2003/06/21
日本では既に22日の陽も高くなっているはずであるが,例によってこの記述は現地時間である。21日午後2時45分,日暮里発のスカイライナー29号で成田空港へ。多少,乱気流による揺れもあったが10時間余りのフライトのあと,無事サンフランシスコ国際空港に到着。現地は快晴,気温15度程度,例年の「スタンフォード大学縁起」の代りに「映画に出て来るケーブルカー」の話を聞きながらバスでホテルに向かう。
機内でB級ホラー「ダークネス・フォールズ」(ジョナサン・リーベスマン監督)を観た。以前アニメの「サウスパーク」でも取り上げられていた「歯の妖精」ネタの恐怖映画。……西海岸の小さな町,この町にはかつて,子供達を相手に「歯の妖精」役を演じていた老婆を誤解から惨殺した過去があり,他の地域と違って「歯の妖精」の言い伝えは「顔を見ると殺される」という警告と共に語られている。
弟マイケル(リー・コーミー)を暗闇恐怖症と診断されたケートリー(エマ・カウルフィールド)は,12年前に母親を殺したと疑われてこの町を去ったボーイフレンド,カイル・ウォルシュ(チェニー・ケリー)が,ちょうど弟と同じような症状だったことを思い出して彼に連絡を取る。すっかり大人になったカイルが町に舞い戻ったその日から,彼の周囲で再び殺人事件が頻発する……。
……こういう言い方をしたらナンだけど「B級ホラーとして水準作」といった感じの映画で,とりたててどうこう言うもんでもない。一番印象に残るのが「あまりに簡単にコワれすぎるアメリカの懐中電灯」だったりしてはイケませんな(笑)。
宿泊先のフォーシーズンズホテルの部屋には,本来予約していたアージェントホテルの支配人からオーバーブッキングを詫びる手紙とフルーツの盛り合わせ。代理店のヒトも言っていたがホテルのグレードはフォーシーズンの方が上なので,こうまでされるとなんか尻のあたりがコソバユい。
昼飯はこの果物で済ませ,町に出るというバスケ君,ムラキ青年らをよそに部屋でゆっくり本など読む。出先のバスケ君から電話があり,夕食はムラマツさんが雑誌で発見したというバスク料理の店「ピパレイド」。料理もワインも絶品,いい店を探す嗅覚に脱帽。またよろしく。
2003/06/20
なんとか渡米前に読み終えようとガンバった甲斐あって,「ユーザーイリュージョン〜意識という幻想」(トール・ノーレットランダーシュ著)を読み終わった。500ページを超える大冊,でもそれに見合うだけの知的興奮を味わえる本である。なにしろオビにこうあるのだ,「脳は私たちを欺いていた。意識は錯覚に過ぎなかった」……。
デカルトの有名な言葉を引くまでもなく,我々は我々自身の「意識」こそが我々の存在の根幹だと思っている。手塚治虫の「火の鳥・未来編」でも,主人公マサトの「存在って何だ?」という問いに対して火の鳥は「意識よ」と答えていた。ところがこの本の著者が紹介する最近の知見によれば,どうもそれは間違いであり,意識というのはナンとも欺瞞に満ちた錯覚めいた存在らしいのである。
そんなアホな,と思うでしょ? またぁ,トンデモ本の類を読んでコーフンしてるのか,とおっしゃるでしょ? しかしそうではないのだ。これはキッチリと実験によって証明されている事実であって,どうにも反駁のしようのないものなんである。以下,簡単に説明しよう。
我々のいろんな動作,手を動かすとか首を振るとかそういう動作は,それが行われるに先立って脳内に電位変化(準備電位という)が起きることが判っている。つまり脳は筋肉を動かすために,まずはその命令を用意するわけですな。で,実際に測定してみるとこの準備電位が発生してから実際にその動作が行われるまでにはおよそ1秒ほどかかるという結果が出た。ここまでいいですか?
さて,この結果は普段の我々の動作,頭を掻いたり耳をほじくったりしている感覚に沿うモノだろうか? もっと簡単に言おう,我々は「頭を掻こう」と思い付いてから実際に頭を掻くまでに1秒も時間をかけているだろうか? そんなこたぁない,とオレは思う。ノロマのあんたはどうか知らんが,オレは断じてもっと素早く頭を掻いているという自信がある。
でも脳内の電位変化は間違いなく1秒ほど前に発生している。ということは,である。体がその準備を始めてあとでオレは「頭を掻こう」と思うことになる,なりませんか? つまり頭を掻こうと本当に決めたのはオレの意識の外のナニかであってオレの意識ではありえない。オレの意識はオレの脳が頭を掻く準備を始めたあとで,あたかもオレが頭を掻こうと決めたんだい,と「錯覚」しているに過ぎないのだ。びっくりでしょ?
さて,意識が錯覚なら錯覚でしょうがないとして(オレは比較的あきらめがいいのだ),問題はなんでそんなアホなことになったんか,ということだ。これまた驚愕の最新学説によれば,人類がこの「意識」なるものを獲得したのはそう古いことではなく,ぜいぜい3,000年前くらいのことぢゃないかというのである。それ以前,ニンゲンは意識というもんを持ってなかった。エジプトのピラミッドなんかは意識のないニンゲンが作ったらしいんですよ,ヨシムラサクジ先生。
とにかくこの本,熱力学に関わる「マクスウェルの魔物」問題から筆を起こし,クロード・シャノンの「情報エントロピー論」やゲーデルの「不完全性定理」を経由していわゆるサブリミナル・閾下知覚の研究に分け入り,上に出て来たベンジャミン・リベットの実験を経て複雑系,カオス理論,宇宙論に翼を広げるという知の大著である。付箋張りまくりで半月ほどかかったが実に面白くためになった。江湖博雅の読書人諸氏に是非ともお薦めしたい1冊である。
明日から一緒にアメリカに行くイノウエさんが名古屋から出て来て調布に泊まる関係で,今週のミーティングは月曜でなく今日,午後3時からのはずだったがWEB仕事のクライアントとの間に連絡ミスがあって4時過ぎまでズレ込む。しかもそれでもカタがつかずオーハシ君に迷惑をかけてしまった,すまぬすまぬ。
会社のヒトたちと酒を飲んで8時頃帰宅,本多猪四郎監督・円谷英二特技監督コンビの名作「マタンゴ」を観る。都会の喧噪を逃れ,豪華なヨットでクルージングを楽しむ若者たち,ところが一夜の嵐でマストが折れ,無線機も壊れて漂流することに。やがて霧の中の無人島にたどり着き,水と食糧を求めて上陸した彼等は島の反対側の海岸で国籍不明の難破船を発見する。
まだ食糧も残っているのに船には誰もおらず,しかも船内の鏡は全て外して持ち去られていた。船長室にあった航海日誌によれば,島には鳥や獣など食糧になるような生き物はほとんどなく,食べると幻覚症状を引き起こす「マタンゴ」というキノコだけが豊富にあるという。この難破船の乗組員たちは,2人,3人とこのキノコに手を出して船に戻って来なくなったらしい。そして彼等の身にも同じことが……。
出演は,船のオーナーのぼんぼんカサイに土屋嘉男,艇長サクタに小泉博(このヒト,オレがガキの頃に「クイズグランプリ」の司会をやってたっけ),そのグレ気味の助手コヤマにウルトラQの万城目淳こと佐原健二,身勝手な小説家ヨシダに太刀川寛,歌手のマミがお馴染みの水野久美,なにを教えてるんだか大学のセンセイというムライが久保明,その教え子で恋人のアキコに八代美紀。特撮がどうこうよりも極限状態に置かれたニンゲンたちの愛と裏切りのドラマとして見応えがある。
2003/06/19
件のCGI仕事,ほぼ終わったぜと思ったら甘かった。漢字コードの問題で一日あーだこーだと悩む。一番イラついたのはエディタの問題。オレがPerlを書くのに使っているBBEdit(V7.0.3)は「.CGI」というエクステンションをつけるとPerlのシンタックスでカラーリングしてくれてまことに便利なんだが,保存する漢字コードに「Japanese (EUC)」を選択すると時折「なんで?」という挙動をする。
最も困るのはPerlの結合演算子「=‾」がセーブできない,と抜かすこと。おまえ,これ1バイト文字ではないか。「UTF-8としてならセーブできる」というアラートが出るが,それでは実行時の動作がヘンになる……。頭にきてカラーリングをあきらめJedit(V4.2.1)に切り替えるとこっちは大人しく(当たり前だ)EUCで保存させてくれるものの,今度はこっちの目がカラーリングに慣れ切っているため編集作業で「文字列はどこまでだ」などとイラつく……。
とにかくそんなこんなと自分のバグが絡み合って現象がどんどんフクザツになり,さっき動いていたコードがなぜ今は動かない,と驚くこと再三。なんとか全部の動作を確認できたときにはご苦労様,日が傾いておりました。……BBEditのコレ,誰か解決策知らないっすか?
夕食後,髪を切り風呂に入ってさっぱりし,阪神 vs 横浜戦にこわごわチャンネルをあわせる……案の定,1軍に昇格したばかりのホワイトサイドがボカスカ打たれ(エラーも一つ),これで9連敗。しおしおのパァで映画に切り替える。本日の上映作品はロドリゴ・ガルシア監督「彼女を見ればわかること」。この監督,作家のガブリエル・ガルシア・マルケスの息子なんだそうでこれが第1回監督作品。……新人監督の映画にしては出演者がメチャ豪華である。
映画はバルザック風のスジ立て。ロサンジェルスに住み,互いに関係がなさそうでありそうな女性達の生活を,それぞれを主人公にした5つの短編によるオムニバスで綴っている。ざっと関係を書き出すと……,寝たきりの母親を抱える医師キーナー(グレン・グロース)は人生の転機を感じて占い師のクリスティーン(キャリスタ・フロックハート)を呼び,病院で銀行支店長レベッカ(ホリー・ハンター)の掻爬手術をする。レベッカは妊娠を告げても気づかってもくれない恋人ロバート(グレゴリー・ハインツ)への面当てに部下のウォルター(マット・クレイベン)と一夜を過ごすがさらに傷付いてしまう。そのウォルターには9歳になる盲目の娘がいて,同じ盲目のキャロル(キャメロン・ディアス)が家庭教師についている。� �ャロルの姉で刑事のキャシー(アミー・ベレネマン)は同級生の死を調べるためキーナーの務める病院へ。侏儒の事務員アルバート(ダニー・ウッドバーン)から彼女の過去を聞き出す。そのアルバートは越して来た母の家の向かいに住む作家のローズ(キャシー・ベーカー)と良好な関係になりつつあり,クリスティーンと死病に冒されたその恋人リリー(ヴェレリア・ゴリーノ)が住むフラットのベランダからはウォルターの娘が世話をするカナリアの籠が見える。
誰もがこの映画を気に入るとは思えない。特に若いヒトには退屈だと思うかしらん。でもオレくらいの歳になるとこの映画の良さが判る。寝ている母親のピアスを取り自分で付けてみるグレン・グロースの表情,ホリー・ハンターがホームレスの女性にタバコを渡す時のまなざし,キャシー・ベイカーが鉢植えを手に道路を渡るときめく足どり……,シナリオを読んだ女優達が「どの役でもいいから出たい」と言った,その理由がそのまま彼女たちの演技に現れている,傑作。
2003/06/18
CGI仕事はちょっと夜まで食い込んでようやく枠組の制作完了,明日実際の通信相手をシミュレートするダミープログラムを書いてチェックすればローカルの仕事は終わりとなる。残るは実際に運用するサーバへインストールしてのテスト,そしてようやくWEBページのデサイン。……他の仕事の合間を塗ってのコマギレ仕事だったのでもう最初の頃にやったトコロを直したくなって来たりしているが(笑),まぁスケルトンとしてはこんなもんだろう。
野球は雨で中止,今日こそは雪辱するはずだったのに,と強がりたいところだが正直言ってほっとした,情けないなぁ。酒を用意して映画を観る。ジョン・マクノートン監督「ワイルドシングス」。マット・ディロン演じるモテモテのハンサム教師サム・ランバードが,言い寄る教え子ケリー(デニース・リチャーズ)を拒んだことから逆恨みされ,レイプされたと訴えられる「セクハラ冤罪モノ」……かと思いきや。
ケリーの訴えの信ぴょう性を高めるかのように「ワタシも彼に姦られた」と訴えていたスージー(ネーブ・キャンペル)が法廷でケリーと組んでやった狂言だと証言したからさぁ大変。告訴は取り下げられサムはケリーの母親(テレサ・ラッセル)から莫大な慰謝料を受け取る……と。ところがなんとこの展開はサム,ケリー,スージーの3人で仕組んだ計画通りだったんですよカワサキさん(懐かしいな,これ)。シャンパンをあおって成功を祝う3人。……しかしその背後には彼等を疑う刑事レイ(ケビン・ベーコン)の影が……。
「意外な結末」を売り文句にする映画は多い。が,オレのようにスレた観客の目で観るとそのほとんどがあんまり意外でもないか,またはその意外さにどう考えてもムリがあるものが多いんだが……この映画にはやられた,ほんまに意外でした。あんまりくやしいのでこれから観るヒトに1つだけヒントを。「最後に笑う奴が最もよく笑う」ちうのはこの映画の場合,ウソです。あ,それから冒頭のフロリダの湿地の風景がすげぇキレイで吉であります。
2003/06/17
引き続きCGI仕事。なんとか渡米前に運用試験が行えそうだ。来月になるとまた忙しくなってこういうウチワの仕事にそれほど時間を割けなくなってしまうからね。……ウチワの仕事で思い出したが,オレが作ったシンメトリー倶楽部御用達のPhotoshop7.0用プラグインについて「マックピープルの記事で知ってダウンロードしたんだけど使えません」というメールを貰った。えっと,ごめんなさいあれはMac OS Xでしか動きません。Mac OS 9でも動作するバージョンも作れるんだけど今のところその予定はありません,あしからず。
ところでこのヒトが読んだというマックピープル,編集のモロトミ氏は「掲載させてください。掲載誌を送りますから連絡先をお知らせ下さい」と言ってオレに送付先住所を送らせておいて結局掲載誌を送って来ない。送って来ないとなるとなんのためにヒトの住所を問い合わせたのか。まさかヤクザ金融関連の名簿屋などに売るためとも思われぬが……だいたいこの雑誌は3月に「xToy」を紹介したときにも住所を聞いて来て,その時はちゃんと送られて来てるんだがな。
夕食後,横浜 vs 阪神戦,三浦の力投を見守るも,9回リリーフしたデニーが打たれて逆転サヨナラ負け。デニーを責めるのも酷だがしかしなんでこんなに負けるかなぁ。これで今期2度目の8連敗,阪神相手の対戦成績が1勝12敗! にわかには信じられない数字だが事実なんだよなぁ。……数分の間目を閉じ心拍を意識して失意を噛み締め,昨夜途中まで観て寝てしまった「チル・ファクター」(ヒュー・ジョンソン監督)に気持ちを切り替える。
2000年に日本で公開されたときにはさしてヒットしなかったようだが(オレなどポスターを見た記憶も無い),なかなかどうしてツボを抑えた面白い活劇映画である。オレゴンの片田舎,過去から逃れてここに流れ着いたデリの店員ティム(スキート・ウーリッチ)は,死に瀕した常連客の科学者ロング(デビッド・ペイマー)から「究極の化学兵器・エルヴィス」を託される。エルヴィスは10年前にロングが開発,実験で18人の米軍兵士の命を奪った殺傷力抜群の兵器。その事故の責任を取らされて投獄されていたブリナー元大尉(ピーター・ファース)が出獄,エルヴィスを奪って各国との競売にかけるべくロングの研究所を襲ったのだった。
ロングの死を看取ったのはティムとアイスクリームの配達に来ていたアーロ(キューバ・グッティング・ジュニア)の二人,ロングによればエルヴィスは華氏50度(摂氏で約10度)以上で突然活性化し,周囲約8マイルに分け隔てのない死をばらまく。博士を追って来たブリナーらをかろうじて出し抜いた二人は,おんぼろ冷凍車にエルヴィスを積んでの逃避行に乗り出すのだが……。
というわけで「恐怖の報酬」と「スピード」を足して2で割ったようなプロットなんだが,ティムとアーロの陽性なキャラと,惜し気も無く火薬を使い道を崩し車を吹き飛ばす演出でテンポよく見せる。二人に逃げられたブリナーが憎々しげにアイスクリーム・ビスケットを頬張るシーンが抱腹モノ。
2003/06/16
レギュラーWEB仕事のイレギュラーバウンド処理のため午前5時ごろ起きてサードベース後方にうずくまる。案の定ちょっとしたミスがあり(放置すると結果は重大だ),関係各方面に連絡して対処。午前9時半から舞台を再びサンアントニオに移してのNBAファイナル第6戦。文字通りがけっぷちのネッツは第3Qまでよくスパーズを抑えるが,6点リードして始まった第4Q,突如として誰のシュートも入らなくなり,結局88-77のスコアで逆転負けを喫した。
まぁどちらかと言えば,というくらいの肩入れ具合でネッツを応援しながら観ていたワタシではあるが,昔から好きな選手だったケビン・ウィリスが40歳にして初めて掴んだ栄光に男泣きしているのを観てもらい泣き。ワシのキライなレイカーズをカンファレンス・セミファイナルで破ってくれたことでもあるし,ここは素直におめでとうサンアントニオ・スパーズと申し上げたい。……しかしロビンソンの引退によって出来るサラリーキャップのゆとりにモノを言わせて来シーズン,ネッツのジェイソン・キッドを獲得するちう噂はほんまかしら。
クラークソントップギアM5
午後は先週から引きずっているPerlのCGI仕事。早起きしたせいか眠くて思うように進まない。4時に目黒駅前でソーテック社の編集者フルイチ君と打ち合わせ。Cocoaの本を書きたいと言う話だったんだが成り行きでC言語の入門書を1冊やっつけることになってしまった。彼と別れてから本屋でただいま出版されている同種の本を数冊立ち読みするが,相変わらずロクな入門書がないんだねぇ。いくらそこでつまずくヒトが多いからって「ポインタ」に特化した本まであるのに驚いた。そんなに難しいもんぢゃないのに。
晩飯を兼ねて軽く酒を飲んで帰宅。録り置きの映画を観始めるが眠くてダメ。作ったオンザロックの酒が薄まるのにまかせて椅子でウトウト。気が付くと午前1時で映画はエンドロール,これは再度観ることにし,ベッドに移って本格的に就寝する。
2003/06/15
お休みの日曜日。午前中,朝から観る映画ぢゃねぇななどと頭掻きつつ深作欣二監督「いつかギラギラする日」を観る。観るのは2度目だがやっぱり傑作だよな,これは。これを観ればあの話題になった「バトルロワイアル」なんて,深作としては全然出来の悪い部類であることが(まぁあれを映画にしようってとこに無理があるんでそこは監督のせいぢゃないとも思うがね)判るってもんである。
かつて,周到な計画,沈着な行動,類稀なるチームワークで数々の銀行を襲った強盗団の頭目カンザキ(萩原健一)の元に,札幌に住む仲間・シバ(千葉真一)から「おいしいヤマ」の話が持ち込まれる。カンザキは借金に喘ぐイムラ(石橋蓮司)を誘い,バックアップを務める多岐川裕美(役名失念)を伴って北海道へ向かう。
シバが紹介したのはライブハウスの経営を夢見るチンピラ・カドマチ(木村一八),観光客でにぎわうリゾートホテルから銀行に輸送される週末の売上現金2億円,これをその途中の山道で強奪しようというのである。強奪はあっさりと成功,しかし肝心の現金が5,000万円しかない。開店間近のライブハウスのためにどうしても5,000万が必要なカドマチはやにわにイムラを射殺,シバにも致命傷を負わせて逃亡する。カンザキはシバの女マイ(荻野目慶子)にカドマチが殺しに行くと警告するが,二人はもともとグルだった……。
カドマチとマイが持ち逃げした5,000万円を巡る争奪戦,途中からカドマチに金を貸しているヤクザ(八名信夫)とその一味,用心棒で殺し屋のタツ(原田芳雄)まで加わって室蘭の街を疾駆する。特に原田芳雄が外からバスの非常口をぶち破るカーチェイス・シーンの迫力はこれまでの日本映画ではなかったもの。「バイオレンスの深作」の面目躍如といったところか。
……とまぁ,ほぼ満点に近い映画なんだが,個人的にはカドマチの入れあげるロックバンドがビジュアル系なのがイマイチ(ここはパンクでしょ)。エンドロール,ショウケンが日本語で歌うドリフターズの「Save The Last Dance For Me」の方が,「歌」として遥かに素晴らしく心を熱くさせる。……オレの歳のせいかしら?
昼は武蔵小山までコーヒーを買いに出かけ,東急目黒線で目黒に出て新星堂で吉田拓郎の新譜「月夜のカヌー」を購入。家に帰ってしこたま昼寝。昨日書いたプリンタの問題について知人数名からメールあり。エプソンのプリンタでも似たような現象が報告されているとこを観ると,どうやらAppleのプリントセンターが,プリセット以外の紙のデータをプリンタに送る部分でバグっているらしい。バグレポートを出したいが,どう書いたもんかな。結構難しいな,これ。
夜,横浜の7連敗を確認し(くそ),阪神のサヨナラ勝ちを観た後で「OZ」の第26話「訃報」……。知事選の選挙参謀シュルツがグリンを訪れ,今回の銃撃事件の責任を問うてマクマナスを解雇せよと告げる。いったんはマクマナスを庇ったグリンだったが,結局知事の意向に抗えない。……これで第1シーズンからのレギュラーだったマクナマスとウィトロジーが消えた。……今後も出て来ないのかしら。
ビーチャーが探していたシリンガーの息子ハンクが見つかるが,これが「親爺に面会に行ってやるから金を払え」とうそぶくサイテーの不良息子,まぁあのシリンガーの子だから自業自得と言えばそうだが,ムカダ神父は複雑な気持ちを味わう。ビーチャーは引き続き金を払ってでもハンクを逢いに来させると決める。
麻薬捜査官モーベイは妻を装った連絡係と面会するが,ヒルが彼女に見覚えがあると言い出す。ヒルが逮捕されたときに捕り手の中に彼女もいたと知り,モーベイはしばらく来るなと連絡し,黒人グループのヘッド,アデビシに取り入ろうとする。囚人と家族が暴動の件で州を訴えた裁判が始まる。出廷するはずだったサイードは服装の問題でモメ,ビーチャーのその心根を喝破される。
スタニスロフスキーが携帯を使っていることを知ったオライリーは,その持ち主であるグリーノを挑発してスタニスロフスキーにけしかけるが,シロウトのグリーノは彼の敵ではなく,あえなく返り討ち。殺し屋を使ったヘルナンデスのアルバレス殺害計画は失敗,死刑執行を前にしたベリンジャーは監房で何者かと性交渉を持つ。そしてモグラ,ブスマルスが今度は掃除用具ロッカーの底から穴を掘って逃亡する……。
2003/06/14
NBAファイナル第5戦はまたしても「メジャーリーグ公式戦,ただ松井が出てるってだけの普通の試合」が終わり次第に始めますという追っかけ録画中継。ところがその「普通の試合」が,ヤンキーズのエース,ロケットことロジャー・クレメンスが300勝と4000奪三振を一挙に成し遂げた記念すべき試合になっちまった。
10数年前,まだ彼がレッドソックスにいた頃にフェンウェイ・パークでクレメンスの投球を観たことがある。確か10ドル余りで座った3塁側内野席のスミにいても「球威」というのが伝わって来るのだ。……すげぇピッチャーがいるなぁアメリカには,と思ったもんだが,そうですか遂に300勝ですか,おめでとう。
……てなわけで11時半頃ようやく放送開始となったNBAファイナル第5戦。岩をも穿つ超人的意志力で既に出ようとしているであろう試合結果をネットで観てしまいたいという誘惑に抗いながらネッツを応援するも空しく,93-83で軍配はスパーズ,対戦成績もスパーズの3勝2敗となって再びサンアントニオに戻ることになった。
放送中NHKのアナウンサーがスパーズ、ポポビッチ監督の「本当を言うと私はゾーン・ディフェンスは好きぢゃないんだがネッツには非常に効果的だ」とかいう言葉を紹介していたが,ほんまにネッツはこのゾーンを崩すことができない。素人目で観てもダンカン,ロビンソンのツインタワーが待つゴール下にガードの選手がペネトレイトしていくのは難しく,この2人を相手に体を押し込んでポストプレイが出来る選手がネッツにはいない。体格的にはムトンボならと思うのだが,いつもムトンボに入ると解っているボールほどインターセプトしやすいものはないし,そのムトンボが外に戻したロング・シュートの確率が悪くては勝てないよ。……「6戦でスパーズ」というNBA.comで戦前に行われたアンケート結果通りになるのかな(何を隠� ��うオレもこれにボートしたんだけどさ)。
土曜日ながらコマゴマと仕事があり,なんだかんだで夕方までマシン前に張り付き。……いきなりですけどOS Xのプリンタードライバーの「カスタム用紙サイズ」って変ぢゃないっすか? 例えばプリセットにないB6の紙を追加しようとして長さ18.20cm,幅12.85cm,四方のマージンを0.65cmと入力する。プレビューとかではちゃんと印刷されそうに見えるのだが,実際にB6の紙をセットして印刷してみると何故か印刷が始まる前,つまり上のマージン分がやたら過剰に紙送りされてしまい印刷したいものが切れてしまうのだ。……これってシステムの問題? それともキヤノンのプリンターだけかしら?
釈然としないまま酒の用意をし,ヒマワリとカボチャの種(市川園の通信販売)をツマミにツァイ・ミンリャン監督「ふたつの時,ふたりの時間」を観る。……この雰囲気をどう表現したらいいんだろ。なんとも不思議な映画である。
台北の路上で腕時計を売るシャオカン(リー・カンション)は父を亡くした喪中のある日,明日パリに発つと言う客シアンチー(チェン・シアンチー)に,あなたがしている時計を売ってくれとせがまれる。同じ型の物は品切れだし,喪中の者の持ち物を身につけるのは縁起が悪いと一度は断ったシャオカンだったが,シアンチーの執拗な頼みに遂に根負けする。
台北に残ったシャオカンは一度会っただけのシアンチーの面影が頭から離れず,パリを舞台にした映画(トリュフォーの「大人は判ってくれない」)を観たり,目に入る時計を片っ端からパリ時間に合わせたり。その母は彼の狂わせた時計を父の霊の仕業だと信じて次第に常軌を逸した行動に走り,シアンチーは話し相手もいないパリで異邦人の孤独を味わいながら,ふとシャオカンの電話番号を書いたメモを探し始める……。
一貫して固定カメラしか使わないという演出,パンもトラッキングもクローズアップもない。おお,このシーンではカメラが動いた,と思ったらトリュフォー映画の引用だった……(笑)。ほとんど台詞らしい台詞もストーリーらしいストーリーもなく,どこか普通のようでそうではない時間が淡々と過ぎて行く。……こう書いてみると退屈だろうと思われるかも知れぬが,観ている間は退屈を感じない。そのヘンが監督の腕か? 引用作品の主役,ジャン・ピエール・レオー本人がいきなり出て来るのが嬉しい驚き。現実であって現実でないようなラストシーンのシンメトリカルな絵も見事。
2003/06/13
金曜日の午前中はWEB仕事,WWDCに出かけてしまう再来週,ルーティンではないイレギュラー仕事が入ったため,これをヒトに任せるための下準備など。午後はPerlと格闘し,午後5時から中目黒でタナカタロー君とビール片手の打ち合わせ。この仕事,今年後半のたつきとなるか。でも結構厄介だぞ,これ。帰途,「たきざわ」で晩飯を兼ねてレモンサワーを数杯,豚キムチ炒め美味なり。読賣 vs 阪神戦TV中継の幕間,横浜4度目の5連敗濃厚とて足取り重し……そんだけで20敗だもんなぁ。
帰宅後,風呂で汗を流して「ウルトラQ」2本。まずは第26話「燃えろ栄光」。新進気鋭のボクサー,ダイナマイト・ジョーは試合のたびに相手をKOするラウンドを「予言」し,その通りに勝ってみせる人気者だ。彼の予言は,ペットの超深海生物アリゲトータスのピーターを媒介にした自己暗示だった。そのジョーが,念願の世界タイトルマッチを前に忽然と姿を消し世間は騒然。そんな中,由利子,一平とともにシーサイド・ホテルでのディナーショーを観に行った淳は,舞台のピエロが行方不明のダイナマイト・ジョーではないかと言い出す……。
リアルタイムで観た時もそうだったが,この話はいまいちピーターの存在意義が解らない。いや,ダイナマイト・ジョーの自省の媒介として機能してるのは解るんだが,物理の法則を無視してまで「手のひらサイズが熱でニンゲン大になるトカゲ」という設定にしなくちゃならない必然性はないでしょ? 単なるトカゲだとウルトラQぢゃないから?
次も突っ込みどころ満載の第27話「206便消滅す」。香港から帰る淳と一平を乗せた超音速旅客機206便が東京上空,突如目の前に現れた黒い渦に吸い込まれてしまう。地上で待つ由利子と一の谷博士は管制塔に向かうが,エンジンの音は聞こえるのにレーダーに映らぬというお手上げ状態。
どことも知れぬ雲の上で気がついた淳は一平と共に操縦室に向かう。機長らを起こして善後策を練ろうとしていると,護送中の殺人犯オリオンの竜が刑事から奪った銃を手にやってきて無線機に発砲する。竜は4人を雲海に追い立てる(なんと雲の上を歩ける)。そこには戦争中に行方不明になった戦闘機,そしてどこからともなく聞こえて来る巨大な生物の足音……。
怪獣は出したいが壊す模型は高くつく,という思惑が透けて見えるウルトラQ版の「ジャックと豆の木」だが,笑っちゃうのはオリオンの竜が刑事から奪った拳銃である。アップになるとどう見てもリボルバーなのに,いくらでも弾丸が出て来るのである(最後には淳がトドラに向かって乱射する)。いくら昭和30年代とはいえ,206号行方不明中を離着陸する他の飛行機がないのもムチャだし,仕事してる管制官からマイクを奪って由利子が「淳ちゃん,わたし由利子よ,がんばって」と言わずもがなのことを叫ぶのも愛嬌か。
2003/06/12
朝飯を食い終わるか終わらぬかのウチに宅配便の兄ちゃん登場,キヤノンのバブルジェット・プリンター BJ S530と,フラットベッド・スキャナ LiDE50のお届けである。代わりに今まで使ってたS600を会社のミヤザキさんのトコロへ発送し,早速箱を開けてセッティングにかかる。……9時半,NHK BSでNBAファイナルの生中継開始。プリンタは無事動いたものの,USBから電源を供給するタイプのスキャナがうまくいかない。とりあえずペンディングとしてバスケット・ボールを観ることに。
試合はなんだかゲーム#3と似たような展開。第3Q,ネッツは11点しか取れず,一時は15点もあったリードを引っくり返されてしまう。第4Q,マジでまたしてもスパーズにしてやられたかと思ったが,今日のネッツは違っていた。ルーシャス・ハリス(だったと思う)が果敢に飛び込んだルーズボールからのリカバーボールをキッドがレイアップで決めたあたりから流れを呼び込み,残り4秒を残して77-74と3点のリード,最後は同点を狙った3点シュートのリバウンドをダンカンがねじ込んで77-76になったがそこでタイム・アップ。なんとか2-2のタイに戻した。
試合中,同じコンチネンタル・エアライン・アリーナをホームコートにするアイスホッケーのデビルズが獲得したスタンレーカップを持ってネッツの応援に来たんだが,井上雄彦の「スラムダンク」で,インターハイ神奈川大会の決勝リーグに柔道の優勝旗を持ってアオタが応援に来るのとそっくりなんで笑ってしまった。これでもしネッツがNBAファイナルを制することになると史上初の快挙なんだそうな。そりゃお祭り騒ぎにもなるわなぁ。
ところでスキャナの問題は結局,オレが使っていたUSBハブが電源供給型とは名ばかりで,キチンと500mAを出してないことが原因と判明。考えてみればこのハブ,確かハードディスクを繋げるために買ったのだがHDDがファイヤーワイヤーも使えることが解って使わず,以来一度も電源供給を必要とする機器を繋いだことがないのであった。くそ,ということは単なるニギヤカシのためだけに,長年LEDを点灯させていたことになるではないか,なんてこった。
星野之宣著「ブルーワールド」(上下)を読み終える。昨年8月にコイケさんから借りて読んだ「ブルーホール」の続編である。ページ数倍増,ついでにブルーホールも増えまくるインフレSF超大作。いやぁこういうのを読むと「フロとフロシキは大きい方がいい」と思うなぁ。
白亜紀の終焉を告げる巨大隕石落下の衝撃は,ブルーホールのこちら側すなわち現代のマダガスカル北東沖にも達し,穴周辺にいたと思われる古代生物の死骸を四方にばらまいた。これを目撃したアメリカ人ジャーナリストハリーは恋人のマージーとともに独自の調査を開始する。
そして1年後,スコットランドのネス湖に突如出現した浮遊施設と「穴」の関連性を嗅ぎ付けた彼等は小型潜水艇で湖底を探査,英米軍が発見調査中のブルーホールに吸い込まれて気を失ってしまう。数時間の後,意識を取り戻した彼等の眼前には1億4000万年前,ジュラ紀の信じ難い光景が広がっていた。
軍隊に救助され滞在も許可されたハリーとマージーは英軍中尉のジーン,地球物理学者のキャメロット教授とその孫娘パットらと知り合う。が,安定しているかに見えたネス湖のブルーホールが地磁気の減少で突如消滅,現代に戻るには少なくとも数千キロは離れた他のブルーホールを探すしかない……。
ところで前に「ブルーホール」を読んだ時「あのタイムトンネルのあっちとこっちでちゃんと時間が並行しているのはヘンぢゃないか」と書いたのだったが,その問題はこの続編で解決していた,納得納得。残る大疑問は「こんだけあっちこっちツツいても現代からみて『未来』に通じているブルーホールがないってのはちょっとヤバクないか」ってことなんだが……,まさかそのネタでまた続編を書くつもりでは?
2003/06/11
昼間は相変わらずのハンパ仕事とルーティンワーク。会社から借りて使っているプリンタを取り替えるというので今まで使っていたキヤノンのS600を荷造りする。しまってあった段ボールを開けてみるとすっかり忘れていた(しかももうウチでは使えないのでむき出しでヒトにあげてしまった)PCカードやビデオボードの空き箱がぞろぞろ。明日が資源ゴミの日でよかったぜ。
晩飯食って風呂に入ってさて,野球を観ようかサッカーを観ようか。野球をチェックするとまだ序盤だというのにまたしてもベイスタースはリードを奪われている。今年はこのパタンで逆転できた試合がほとんどないんだよな。……というわけで日本代表のサッカー,対パラグアイ戦を観ることにする。
結果は90分闘って引き分けの痛み分け。コーフン気味のアナウンサーは今日勝てなければジーコ・ジャパンに赤信号などと喚いていたが,試合内容はこないだの韓国戦(その次の惨敗したアルゼンチン戦は観なかったのだが)に比べると段違いに良かったではないか。昨年のワールドカップでの活躍で,みんな日本がいきなり列強に肩を並べたみたいに思っているフシがあるが,冷静に考えればまだまだパラグアイのほうが格上なのだ。その相手に終始押し気味に(オフサイドだったけどゴールネットも揺らしたし)闘えたのだから良しとするべきではないのかな,どうですか。
島の発熱
続いて録画してあった刑務所ドラマ「OZ」の第25話「乱射」を観る。シリル・オライリーとのボクシングの試合で植物人間状態になったカーン,生命維持装置を外すよう求めた妻の訴えが認められ,カーンはサイードに看取られてその一生を終える。一方カーンに対する罪の意識から夜毎うなされるシリルを気づかう兄ライアンはピーター・マリーに助けを求め,彼女が提唱する被害者対面プログラムへの参加を決めるが,シリルに夫を殺されたドクター・ネイサンはこれを拒否。
子供を流産したベリンジャーが減刑措置を取り消されて死刑囚監房に戻って来る。黒人対立候補の台頭に危機感を持った州知事デブリンは,次の知事選での副知事候補をグリンに打診。そのグリンはアデビシの願いを聞き入れてワングラー達黒人3人組をエメラルド・シティに戻す。ビーチャーはサイードの勧めに従ってシリンガーの行方不明の息子ハンクを探すことにする。
そしてエメラルド・シティに3人の新入りが。黒人のモーベイは麻薬取締局の潜入捜査官,イタリア系のグリーノは組織に関係のない一市民犯罪者でマフィアの仲間達を失望させる。残る一人,フランス人のタラントは明らかに精神の安寧を欠いており,ワングラーらに目を付けられて嫌がらせを受ける。タラントはマクナマスに窮状を訴えるがウィトロジーからのパリで結婚するという報せに動揺しているマクナマスはこれを聞き流す。
ワングラーに取り上げられた靴の代わりがトラントの元に届いた日,それも奪おうと彼を小突いたワングラーは,なぜかタラントの手にあるアデビシの拳銃に驚愕しながらその銃弾に倒れる。……再び事態が急展開。モーベイの潜入捜査は成功するのか,エルシドに死刑宣告を受けたアルバレスは生き延びられるのか。そして……グリンは副知事に?
2003/06/10
きたみりゅうじ著「cid:logoimg25のフシギな生態」読了。副題に「失敗談から学ぶ成功のための30ヶ条」とあって,つまりはめでたく現役を退いた(退くことが出来た,というべきか)元システム・エンジニアである著者が,現役時代の失敗談にかこつけて,自分は二度と実践しなくてよくなった仕事術とやらを偉そうに説くハウツー本である。こう言ったらなんだが買って損した。
こういうことを言うのはオトナゲないような気もするが,巻末の著者紹介によればこのヒトの開発スキルは同業であるオレの半分にも満たない7〜8年だという。その年月の間にこの本に取り上げた失敗のほとんどを自ら演じて来たのだとすれば(若干はヒトに聞いた話もあるようなことが書いてあるが),そりゃあんた,マトモに出来た仕事の方が少ないんぢゃないかと思われるわけで,そういうヒトが語る「成功術」と言われてもさぁ,と思うではないの。
一例,営業が仕事を勝手に安く請け負って来て苦労した話のまとめが「営業と開発がちゃんと事前に話し合って……」ぢゃ泣けるだろ。それができない状況だからそういう事態になるわけで,そんな理想論が通るのならケーサツは要らないのである。これに限らず全体的に,失敗談を書く時は失敗した立場から書いているのに,それを防ぐ手立てについて書く段になるとその失敗をとがめる上役や管理者の視線になっている感じがする。
これを買うヒトの多くはそういうキレイゴトを読みたいのではなくて,平気でちゃぶ台返し(決まっていた仕様を勝手に引っくり返すこと)をやって来る客に,いかに合法的に仕返しをして溜飲を下げるかとか,開発工数も計算できないで安請け合いして来る営業にキッチリ赤字の責任を取らせる方法とかを読みたいんぢゃないのか? ……いずれにせよオレは今,客先のコンピュータでエッチサイトにアクセスするようなヤツの本を買っちまったことを後悔してます。それはバレるバレないって問題ぢゃないよ。
夕食後,CSのJスカイスポーツで広島でのベイスターズの試合を観ると,1回が終わったばかりだというのに既に3点のビハインド。いきなり観戦意欲を無くしてB級ゲテモノ怪物映画「スパイダーズ」(ゲイリー・ジョーンズ監督),「スパイダーズ2」(サム・ファースティンバーグ監督)を一挙上映することにする。
まずはタイトルは複数形なのにバケモノ蜘蛛は一匹しか出て来ない「スパイダーズ」(邦題のせいぢゃない,原題もそうなのだ)から。宇宙空間で毒蜘蛛を使った極秘実験を行っていたスペースシャトル・ソラリス号で事故が発生。担当政府機関はこのシャトルが大気圏突入の際に燃え尽きたと発表するが,実は砂漠の基地に軟着陸させる。
おりからこの基地に「取材」に来ていた宇宙人オタクの大学新聞記者マーシー(ラナ・パリーラ)とその仲間2人は,潜り込んだ軍用トラックもろとも地中深くの秘密基地へ連れて行かれてしまう。そこで彼等はシャトルの生き残りの体から宇宙人のDNAを植え込まれた怪物蜘蛛が孵化するのを目撃,蜘蛛はみるみる巨大に成長し,基地中をパニックに陥れる。
コメントは後回しにして「スパイダーズ2」にいく。ハワイ沖でセイリングを楽しんでいたアレックス(スティファニー・ニズニック)とジェイソン(グレッグ・クロマー)の夫婦は,嵐にヨットを沈められ,通りかかった貨物船に救助される。ところがこの船では遺伝子操作を行った化けモノ蜘蛛の飼育が行われており,首謀者であるドクター・ガベック(リチャード・モル)は怪我の手当と偽ってジェイソンを蜘蛛の宿主にしようとする……。
いやあ,2作とも「ご覧なさいこれがB級映画です」と言わんばかりの(いや,1作目には「まるでB級SFだな」という台詞があったけどね)ツクリの映画。基本的には「エイリアン」と「エイリアン2」の出来の悪いパクリなんだが,それでも1作目の方がなんぼかマシか……。2作目と来たら「2」とうたいながら蜘蛛の来歴を説明し忘れていて(というか,説明したシーンを編集段階で切っちまったんだろうが),好意的に言えば前作を観ていなくても話が通じるでたらめさ。……だけど,こういう映画って時折無性に観たくなるんだよな(笑)。
2003/06/09
一昨日ここでオレが悪態をついたのをNHKの誰かが読んだと見えて(嘘),今日のNBAファイナルは午前9時半からの生中継であった。しかも解せないのは,確かに2日前まで0:00GMTと書いてあったNBA.comの試合開始時間がなぜか軒並み0:30に変更になっている。なんか陰謀のようなものを感じるが,おかげで試合終了を見届けてから出かけてミーティングに間に合った(いつも渋谷で食う昼飯をコンビニの弁当に変更はしたけどね)。
さて,その試合。敵地サンアントニオで一勝し,精神的に絶対優位に立ってホームに戻ったはずのネッツの動きが冴えない。またしてもスパーズのゾーン・ディフェンスを攻めあぐね(イースタンにはゾーンで守るチームはなかったんかいな),リングから遠いところでパスを廻すうちにショット・クロックが進み,無理な切れ込みで失敗するか確率の悪いシュートを撃たされる。なんと第2Qには9点しか取れず,NBAファイナルにおける1Qにあげられた得点の最低記録を塗り替えてしまうというテイタラク。
NHKのアナウンサーも再三言っていたが,初めてファイナルに進出した昨年,ネッツはレイカーズにスイープを食らったので,ホームコートの観客はまだ一度も「オラがチームがファイナルで勝つところ」を観ていない。まさかそれで緊張したとも思えないが,ちと前途に不安を感じる出来だった。ジャック・ニコルソンのように最前列に陣取ったニュージャージー出身のブルース・ウィリスのためにも頑張ってくれい。
都内の客先に向かうイサヤマ君のクルマに送ってもらって帰宅,たいした仕事もできないウチに夜になってしまう。いつもながら野球のナイトゲームがない月曜に気分が落ち着く(ベイスターズが負けないから)自分が情けないが,晩飯後,酒を用意してゆったりと長めの映画を観る。シドニー・ポラック監督,トム・クルーズ主演「ザ・ファーム/法律事務所」。
この映画,ネットなどで検索すると「長すぎる」という意見が多くてあんまり評判がよろしくないのだが,オレはかなり気に入っている。全編のトーンをキメているデイブ・グルージンのピアノがいいのだ。今まで映画を観た直後にサウンドトラックのCDを買いに行ったのはこれと岡本喜八の「助太刀屋助六」だけである。
原作はジョン・グリシャムのベストセラー小説。貧しい家の出身ながらハーバード・ロウ・スクールを優秀な成績で卒業予定の弁護士のタマゴ,ミッチ(クルーズ)はウォール街やワシントンDCから引く手数多。その中から彼は妻アビー(ジーン・トリプルホーン)の実家にも近く,待遇も抜群なメンフィスの法律事務所を選ぶ。夢に見たような大邸宅にベンツを手に入れ彼の人生は順風満帆と思えた。
ある日,同僚の弁護士二人が釣り船の爆発事故で死亡し,ミッチはFBIの捜査官タレンス(エド・ハリス)の訪問を受ける。お前の事務所を辞めようとする弁護士は必ず殺される,それは事務所がシカゴ・マフィアの資金洗浄に関わっているからだ,というのだ。半信半疑のミッチだが,自分の教育係であるエイブリー(ジーン・ハックマン)と出かけたケイマン諸島の彼のコテージで,FBIの言葉を裏付けるような書類の山を発見する……。
アメリカの弁護士制度についてちょっと予備知識がないと,主人公の葛藤の理由がよく理解しにくいというウラミがあって(原作ではちゃんと「解説」されていたと思う),日本での評価は不当に低いんぢゃなかろうか。脇を固めるホリー・ハンターやハル・ホルブロックといった役者陣も見事。そうそうそ,「OZ」でティム・マクマナスを演じているテリー・キニーも同僚弁護士役で味のある演技を見せている。
2003/06/08
朝,モサ発行のメールマガジン「モサ伝」の原稿を書き,例によってカサギと昼飯ついで,安田記念の馬券を買いに渋谷へ出る。3週間後の宝塚記念の時には渡米中の予定なので,これがこの春最後の競馬,ランチは目先を変えて場外馬券売り場にほど近い「長崎」で皿うどん。バスで家まで戻り,出走時間まで映画「ダブル・テイク」(ジョージ・ギャロ監督)を観る。
ニューヨークはウォール街のエリート銀行マン・ダリル(オーランド・ジョーンズ)は,メキシコの麻薬密売組織が自分の銀行を使ってマネー・ロンダリングを行っているのではと疑いはじめたその矢先,殺し屋に命を狙われCIAの捜査官を名乗るマクレディ(ゲイリー・グラブス)に助けられる。マクレディは困ったことがあればメキシコで捜査中の自分に連絡をと名刺をくれる。
翌日,偶然が重なって警官殺しの罪を着せられたダリルは逃亡。駅にいあわせた旧知のチンピラ,フレディー(エディ・グリフィン)と服を取り替え,捜査の網をかいくぐってマクレディのいるメキシコに向かう。ところが,成り済ました相手のフレディが,メキシコでは知事暗殺事件の犯人として指名手配されていた……?!
息をつく暇もないジェットコースター的展開のアクション・コメディで,差別ギャグ,偏見ギャグ満載の辛口作品だが,ストーリーもかなりしっかりしており,これを89分で撮れるんなら,無駄に長い映画が多すぎるぜ,と思わせる。エディ・グリフィンの板についたチンピラぶりと,オーランド・ジョーンズのいかにもハーバード出の黒人という気取り演技がアタリ。
3時過ぎにカサギ宅を訪れ馬券が紙くずになるのを確認(万馬券でタメテ食らった,マイナス2,000円)。オレが持参したジョー・カーナハン監督の低予算映画「ブラッド・ガッツ」(これについては以前書いた)のDVDを観て晩飯,10,890円の配当をふいにしたので近所のラーメン屋でおとなしく済ませ,時折野球の途中経過を確認しながら「エドtv」(ロン・ハワード監督)を観る。
30過ぎのビデオ屋の店員エド(マシュー・マコノヒー)は,経営悪化に喘ぐケーブルTV局がひねり出した窮余の一策「普通の人の生活ドキュメント」の主役オーディションに合格,寝起きから恋人との会話に至るまでをカメラに追いかけられる。
……という設定をみれば誰でもピーター・ウィアー監督・ジム・キャリー主演の「トゥルーマン・ショー」を思い出すだろうが,似ているのはそのアイディアだけ。撮られていることを本人だけが知らないという,どこからどう見ても無理のある(しかも人権的にも問題があろう)設定の「トゥルーマン・ショー」はあくまで寓話だが,主人公自ら望んで撮られる「エドtv」はデフォルメされてはいるもののまぎれもないアメリカの「現実」である。二番煎じと切り捨てて観ないなんてもったいない傑作だ。
この映画の仕掛けは「逆転」にある。まずエディの日常がTVに映し出されることで「有名性」というものの根拠が逆転する。「有名人だからプライバシーを晒される」が「プライバシーを晒しているから有名人」に,歌手でも俳優でも政治家でもないエドが全米の大スターになるわけだ。恋人シェリ(ジェナ・エルフマン)への感情,TV局の重役達の態度,エドの両親の関係など,エドをテコにして細かな「逆転」が小気味良いテンポで積み重なり,ラストの大逆転に向けて転がって行く……。
ところでエドの「実の父」役のおっさん,どっかで見たことがあると思ったらデニス・ホッパーではないか。「若い頃は女にモテたのよ」って,そりゃそうだろうよ,あんた若い頃は「イージー・ライダー」だぜ,このヒトは(笑)。
2003/06/07
土曜日,11時半からNBAファイナルの第2戦があるってんで,11時頃近所の「5ちょうめのパン屋さん」(という名前なのだ)に昼飯を買い出しに行き,万全の体制で放送開始を待つ。が,その前の番組,すなわち日韓首脳会談関連の報道番組がズレ込み,NBAが始まったのは11:50。あれ? それなのに試合前の国歌斉唱から映してる。なんだこれ,生中継ぢゃないのか? 椅子を蹴飛ばして仕事場に戻り,NBA.comにアクセスするとこの時点で実際の試合は4Q残り2分余りではないか。
そのまま試合終了までマシンに張り付き,ネッツの勝利を見届けてからTVの前へ。なんだか興ざめだが,ネッツが勝ったので一応全部観る。第1戦の出来を反省したと見えてムトンボの出場時間が倍増,ダンカンを19点に抑えたのが勝因か。いや,前もって結果を知ってたからアレだが,第4Q終盤の攻防はこれぞNBAというスーパープレイの応酬で見応えがあった。これで舞台はニュージャージーへ。
ところで改めて調べると,実際の試合開始時間はGMTで0:00だから日本時間では朝の9時なのだ。次の試合,月曜だが生中継でやってくれれば見られるんだが,今日のような「スティング的追い掛け録画中継」だと調布でのミーティングに行けなくなる。……生中継やめちゃったのはやっぱMLB人気のせいかなぁ。「バガボンド」の人気を当て込んだあざとい大河ドラマ作っておいて井上雄彦に申し訳ないと思わんのか,こらNHK。
夕方,博打弱蔵カサギ君に電話をすると,案の定朝一番から出かけたパチンコで玉砕,うどん食ってふて寝をしている。「たきざわ」でレモンサワー飲みつつ「オレがパチ負けてるぶん阪神が勝つからええんだ」とうそぶくが,その阪神も本日は惨敗(横浜のことは聞くな)。クチナオシというかゲンナオシというか映画はブルール・ウィリス主演の「バンディッツ」(バリー・レビンソン監督)。
刑務所で出会った2人の男,ジョー(ブルース・ウィリス)とテリー(ビリー・ボブ・ソーントン),思いつきがうまく図に当たって脱走に成功。ジョーの旧友ハービー(トロイ・ギャリティ)を運転手に引き入れて新手の「お泊まり強盗」行脚を始め,全米にその名を轟かす。
ところがそんな2人の前に,夫に顧みられない欲求不満の主婦ケイト(ケイト・ブランシェット)が出現,ジョーもテリーも彼女に惚れてしまったことから事態は急展開……。ブルース・ウィリスのロン毛のカツラは似合ってないが,ひさびさに面白ばかばかしい犯罪コメディで堪能した。孫子の兵法を標榜するウィリスのエセ・インテリぶりや健康オタクを演じるソーントンの落ち着かない目玉演技も見モノだが,なんと言っても台所でボニー・タイラーの「Holding Out for a Hero」を歌いながら料理を作る赤毛のブランシェット! もう最高。これを観たら次に「ロード・オブ・ザ・リング」を観た時吹き出すこと必至である。
2003/06/06
昨日のFTPの不調は回線トラブルではなく,オレが別の仕事のためにテスト用のWEBサーバを立ち上げた関係で,今までオフってあったMac OSのファイヤーウォールを使いはじめたことが原因だった。「システム環境設定」のファイヤーウォールの画面にも出るように,これを使っても受動FTPモード(PASV)を使用すればOKのはず,実際このmonkeybusinessのあるASAHIネットのサーバなどはそれでちゃんとアクセスできているのだが,仕事で借りているそのサーバだけがペケなのだ。バックグラウンドで「パソコン批評」の原稿(依頼が来ました)を書きつつ,電話であーだこーだとやる。あちらの担当者もいろいろ調べてくれたのだがラチあかず。ほんまに疲れるなぁ。
それやこれやなんやかんやしているウチに夕方になり,風呂上がりのビールと横浜 vs 読賣戦。いやぁ,気分がいいなぁ。解説の衣笠さんも「ベイスターズは変わってきましたね」とおっしゃってたし(いきなり敬語になっちゃうけど),まだまだこっからですがな,山下洋輔編曲のビッグバンド版「ベイスターズ・ジャンプ」が夜毎横浜の空に響き渡りまっせ(あれは試合前と,得点したイニングが終わった時と,ベイスターズが勝った時のヒーローインタビューの前に流れる)。
一転強気で幸せな気分になり,酒をウイスキーに切り替えて映画「K-PAX 光の旅人」(イアン・ソフトリー監督)を観る。……ニューヨークの精神科医マーク(ジェフ・ブリッジス)のもとに自分は宇宙人だと名乗る男プロート(ケビン・スペイシー)が連れて来られる。彼の語る故郷の星の様子や哲学は,理路整然としておりとても妄想とは思われない。やがて彼の話が天文学者によってしかも未発表の発見として裏打ちされ,マークは混乱。一方プロートはその分け隔てのない優しさで精神を病む患者仲間たちの支えになって行く……。
この映画,SF嫌いのヒトに是非観てもらいたいSFである。いや,一部に「これはSFではなくてヒューマンドラマ」とか言ってるマケオシミストの人たちがいるこたぁ知っているが,これは誰が何と言おうとSFなんであり,別にSFとヒューマンドラマや,SFとラブストーリーは相反する要素ではないことの証明なのだ。バナナを皮ごと食ってみせる名優ケビン・スペイシーを向こうにまわして,我等がジェフ・ビッグリボウスキ・ブリッジスの好演も吉。
2003/06/05
昨日直したプログラムが「やっぱり元のままでいい」ことになって再度の直し。世は全て三途の川の石の塔。とにかく早起きしてこれを片づけ,午前11時からNBAファイナル「サンアントニオ・スパーズ vs ニュージャージー・ネッツ」の生中継を観る。ワシは一応弱いと言われるイースタンの方を応援してる。キライなレイカーズを倒した時はあんだけ頼もしく見えた2年連続MVPのティム・ダンカンが,今度はジェイソン・キッドの前に立ちふさがるシャックばりの怪物に見えるんだからファン心理ちうのは厄介である。
前半を終わってスコアは 48-48のタイ,攻守拮抗したいい試合だったんだが,後半開始直後にネッツにミスが出て一気に10点のリードを奪われる。ネッツのヘッド・コーチ,バイロン・スコットは速攻にこだわり過ぎぢゃないのか? 相手が余裕で戻ってゾーンで守れる展開になっても高さでダンカンを凌駕するムトンボを使わない采配には首をかしげる。……いや,オレだけでなくて,NHKの解説の奥野さんもそうだったよ。
そのあと,一度は4点差にまで詰め寄ったものの力つき,ネッツは敵地での緒戦を落とした。ところでNBAファイナルと言えばNHKは毎年,現地にスタッフを派遣して放送していたと思うのだが今日の解説はスタジオからだった。戦争の影響? それともSARSか?
夕方からWEB仕事のためのデータ受け渡し用サーバに突然アクセスできなくなって往生する。Fetchでログインは出来るのだが,目当てのディレクトリに移動しようとすると戻って来ないのだ。同じサーバにログインできる横浜のキタザワさんに電話して試してもらうが彼のところからもダメ。結局福井のタカツさんからはアクセスできることが分かり(ということは経路障害ってことになるのか?),お手数ながら必要なファイルをダウンロードしてメールで送ってもらう。ひいはぁ。
なにか釈然としないままとにかくルーティン・ワークを片づけ,ビールとつまみを用意してプロ野球,ベイスターズはヤクルトに一歩及ばず連勝ストップ。無念の涙で本多猪四郎・円谷英二コンビの「妖星ゴラス」を観る。地球の6,000倍もの質量がある遊星が発見される。観測に向かった日本のロケット隼号を飲み込んだこの星は,このまま進めば地球に衝突することがわかる。この事態に各国の科学者が結集,田所博士(池部良)らが中心となり地球の軌道を動かす「南極作戦」を実行する……。子供の頃にTVで観た時には単純に,わぁ地球は救われた,よかったよかったと思ったもんだが,この歳になってみるとかなり不思議な映画だな,これ。
SF的部分のムリ,ゴラスの設定とか宇宙船の信じられない速さとかはまぁご愛嬌として,まず冒頭,自分の父親(田崎潤)が艇長として乗り込んでいる宇宙ロケットの出発を娘の智子(白川由美)が知らずに遊びほうけてるのが「?」。しかもこの娘,その親の葬式に真っ赤な服を着て出るのである,わはは,叱られますぞ。
もっと分からないのは,あんだけ望まれて出発したおおとり号の観測データがちゃんと使われた気配がないこと。あれぢゃただ金井(久保明)を記憶喪失にしに行っただけぢゃん。ついでにこの記憶喪失も謎,いかにもデイブ・ボーマン風な「金井はゴラス観測中に何かを観て記憶喪失に陥った,ではその何かとは?」というヒッパリなのに最後に記憶が戻ってああよかったってそれだけなの? おい(笑)。
その金井が出発前に滝子(水野久美)を訪ねるところ,いかにも観客サービスっぽい水野久美の泡だらけの入浴シーンをオレは全然覚えてなかったんだが,TVで放映するときにはカットされていたんだろうか。……これはいくら小学生でもいや小学生だからこそ,一度観たら忘れないと思うんだがなぁ。
2003/06/04
昨夜降って湧いた「本日午前中」の仕事をどうにか朝のうちに終え,人を怒らせるために書いたとしか思えないドキュメントを読みながら別クチの仕事に入る。以前同じモノを使ったことがある先輩に電話をかけていろいろ尋ねると「ああ,あれ? ドキュメント最悪? それぢゃオレがやった時と変わってねぇんだ。あれ分かりにくいんだよなぁ」との返事。でもなんとか一応動くモノはでっちあげられたよ,と言われたのがココロの支えというか一縷の望みというか……。
とにかく進捗は別として夕方までみっちり仕事をし,横浜3連勝を祈念してTVの前に座ると試合は雨で中止。それではというわけで映画2本,まずは2000年公開の韓国映画「リベラ・メ」(ヤン・ユノ監督)。……これはスゴかった。
韓国第二の都市釜山,相棒ヒョンテ(ユ・ジテ)と共にアパート火事の現場に向かったサンウ(チェ・ミンス)は,火元の405号室から,その家の主と先に救助に向かって脱出できなくなっていた仲間の消防士二名を助け出す。心の底で火を恐れるヒョンテは,救助にあたって仲間よりも一般人を優先するサンウの姿勢に,かつてのサンウのパートナー,インスの死を重ねて不安を覚える。一方サンウは燃え盛る業火に悪意ある何者かの存在を感じていた……。
サンウの勘は的中していた,ガソリンスタンド脇のボヤ騒ぎに駆け付けようとするサンウが取った電話口,男の声が「邪魔するな」と言う。大勢の消防士を引き付けておいて,犯人はスタンドの店主がガソリンを隠匿していた隠しタンクに引火させた。大爆発の直前,サンウは悪意ある視線を感じて一人の男を追いかける……。
とにかく火の迫力がすごい。聞けばCGは一切使わず,火に関しては全て本モノの映像だというがさもありなん。刑事コロンボ風に観客には最初から放火犯(チャ・スンウォン)の顔が見えているにも関わらず,そのサイコめいた悪意の底が次々と抜けて行く驚きは満点,多少人物描写に類型的な部分を感じるが,消防士達それぞれのサブ・ストーリーも語り過ぎに陥らずシナリオの厚みになっている。いや,ほんまこの映画なんでコケたのかしら。宣伝が下手だったのかな。……ちなみにタイトルはラテン語で「我を救いたまえ」という意味だそうな。
もう1本はやはり2000年に公開されたコーエン兄弟の映画「オー・ブラザー!」(ジョエル・コーエン監督)。これはジョージ・クルーニーが出てることでも話題になりTVでも宣伝をしていたような気がする。クルーニーは「ER」でブレイクしたせいもあって(その前は「リターン・オブ・キラー・トマト」なんてゲテモノにも出てたんだが)どっちかというとシリアスな役の方が印象に残っているんだが,歌も上手いぢゃないか。
頃は1930年代,ミシシッピ州の刑務所から鎖で繋がれた3人組が脱走する。一味の一人エヴェレット(クルーニー)が盗んで隠してあるお宝が,まもなくダムの底に沈んでしまうのを掘り出すため。残る2人はピート(ジョン・タトゥーロ)とデルマー(ティム・ブレイク・ネルソン),懐かしいカントリーミュージックをバックに,イトコに裏切られたりラジオに出たり強盗の仲間になったり他の強盗にしてやられたりKKKに追いかけられたり選挙運動に利用されたりの珍道中……。
たしか封切りの時にはホメロス作「オデッセイア」のコーエン兄弟流翻案とか言っていたような気がするが,どっちかと言えば「ブルース・ブラザーズ」のコーエン兄弟流翻案のような……。とにかく音楽はどれも素晴らしい,サントラのCDを買おうかしら。そそそ,「ブルースブラザーズ2000」にも出てたコーエン作品の常連ジョン・グッドマンが今回もカエルを握りつぶす似非聖書売りを怪演。これも見モノか。
2003/06/03
阿佐田哲也「新麻雀放浪記」読了。一度買って読んだ本だが,何度かの引っ越しのどさくさで紛失していたのを,先般古本屋で見つけて購入したもの。あの不朽の名作「麻雀放浪記」(全4巻)の続編……というか後日談という体裁の小説である。
戦後の混乱期,「ノガミのドサ健」などと共に熱い季節を過ごした「坊や哲」だったが,齢40を数えて体もゆるみ覇気もなく,親の家に居候して無為徒食の日々を送っていた。ある日煙草の万引きで放り込まれた留置場で無頼の匂いのする青年ヒヨッ子と出会い,彼に「博打を教えてやる」ことになる。久々に味わう鉄火場の空気に,体の奥底でくすぶっていた哲の熱い血が燃え上がり……。
以前高名な評論家が,ある教養小説について「人生において三度読んだ,読む年齢によって感動する部分が違う」と書いているのを読んだことがあるが,この小説はワタシにとってその教養小説みたいな趣がある。
思えばこの本の単行本が出た81年,ワタシは雀荘で働いていた。俗にいう「雀ボーイ」というヤツで,メンバーが足りなければ客に混じって打つ……。あの頃はこの小説,クライマックスが麻雀でないのが不満で,本編「麻雀放浪記」より一段落ちるという評価をしてた。ところが主人公と同じ年齢になった今読むと,博打のシーンよりその合間の彼が垂れる講釈の方に,いやその講釈を垂れる気持ちのほうに共感してしまう。
読むのに年期の要る本というのもあるのである。だって「人生なんてうまくいって原点そこそこなんだ」なんて,ハタチの頃には頷けやしなかったではないか(笑)。
夕方になってクライアントから先日挙げた仕事の直しが入る。どーでもいいけど18時過ぎにメールを寄越して「明日の午前中」というのは勘弁して欲しいなぁ。とにかくモゴモゴと問題を調べて10時頃まで。なんとか明日中にできそうだと目処がついたので酒を用意し,「OZ」の題24話「聖夜」を観る。
エルシドらが捕まった時に一緒にいなかったことで密告を疑われたアルバレスは,リベラとその妻が自分に逢うのを断って来たことでなおさら孤立感を強める。度重なるロックダウンに囚人達のヒートアップを恐れた所長グリンは,ボクシングの決勝戦を延期しようとする。結局試合は観客抜きで行われ,兄の「敵を親爺だと思え」という暗示にかかったシリルは相手のカーンをKO,カーンは打ち所が悪く脳死状態に陥ってしまう。
エム・シティに戻ったエルシドらの襲撃を恐れ,独房入りを望むアルバレス,だが願いは容れられず襲って来たリカルドを逆に刺し殺してしまう。娘のレイプ犯の名を彼の口から聞き出そうとするグリンに対してアルバレスはかばっていたのは自分が殺したリカルドだったと告白,空虚な笑いを独房にまき散らす。
新年を迎えて弛みがちな規律を糺そうと看守長マーフィはポルノ雑誌の没収を命じる,が,これをきっかけにアデビシの暗躍が奏功,刑務所内は看守たちに至るまで人種的対立が深まり一触即発状態。コーランの愛を説くサイードにアデビシは「オレが欲しいのは『正義』だ,愛ぢゃない」と言い放つ。
2003/06/02
例によってミーティングのため調布へ赴く。件のルータがプロバイダが支給するIPをただ配付するブリッジとして使えないことについて,ネットの専門家である同僚シマハラ君の解説を聞いて納得する。はやい話,オレの欲しいのは「ファイヤーウォール+ハブ」の機能なのに,ほとんどの機種はオビタスキなのだ。「ハブは既にあるんだからファイヤーウォール単機能の機械というのはないの?」と訊くとあるけど高いという返事,ハードで制御する専用機になるからだそうで話は判るが釈然としない,しませんなぁ。
野球の試合もないのでスコヤカに録り置きを消化。まずは「ウルトラQ」を2週分,第24話「ゴーガの像」そして第25話「悪魔っ子」。
「ゴーガの像」はスパイ映画みたいな導入部がかっこよくて好きだった一編だ。中東の小国アーブから羽田空港に到着した瀬川大使の娘タミが,抱えていた人形とともに連れ去られる。犯人は古美術のコレクター岩倉とその一味で,タミをアーブの美術館から盗み出した「ゴーガの像」を密輸するための運び屋として利用したのだった。地下の展示室に像を飾って悦に入る岩倉。しかし鑑定のために放射線を当てられた「ゴーガの像」の中では,かつて古代都市アランカを滅ぼした怪物ゴーガが6,000年の眠りから目覚めようとしていた……。
続く「悪魔っ子」はシリーズ中で一番嫌いだった話,恐いんだよな。深夜の東京,相次いで起きる交通事故。被害者の身辺からは,必ずなにか小さなものが紛失している……。大評判の東洋大魔術団の公演を観に行った万城目ら一行は,催眠術によって精神と肉体の分離現象を起こしてみせる少女リリーを知る。一の谷博士はその芸の危険性を指摘し,少女の父親に逢うが,「この娘は催眠術を使わないと眠れないのだ」と拒絶される。しかし,深夜の街を徘徊して事故を誘発していたのはこのリリーの「精神」だったのだ……。
続いて1965年の東宝映画「無責任清水港」(坪島孝監督)を観る。例によってクレージー・キャッツ総出演のスラップスティック・コメディ。信州無宿,追分の三五郎(植木等)はイカサマ博打と掏摸の達人,剣術の方も自称韋駄天流の免許皆伝。無銭飲食(本人は借用書を書いているんだから無実だというが)で放り込まれた番所の牢で,兄貴分の罪をかぶった森の石松(谷啓)に逢って意気投合。やがて揃って放免され,石松は三五郎を自分の居候として次郎長一家に連れ帰る。
目下売り出し中の次郎長親分(ハナ肇),しかしその台所は火の車,女房のお蝶(団令子)とその妹お雪(浜美枝)が着物やら簪やらを質に入れてはやりくりする毎日。お雪に岡惚れした三五郎,石松を誘って鷹岡の勘助の賭場荒らしに出かける。案の定というかまたしてもというかお約束というか正体は露見して勘助は次郎長に喧嘩状を叩き付ける。意気に感じた次郎長は張本人の石松と三五郎を逃がし,大政(平田昭彦)ら名立たる子分を引き連れて決戦の場へ向かう……。
植木等の人を食った演技は相変わらずだが,中でも居並ぶ次郎長一家の面々の前でやる丁半博打の講釈が面白い。いわく「壷にサイを入れ盆に伏せる。ちょっと壷を開けてサイの目を望み通りに変える。そしてまた壷を伏せる。これを目にも留まらぬ早業で行う。これは技術であってイカサマぢゃない。技とインチキの区別もつかねぇのか」と。いや,技術は見事でもそれはやっぱりイカサマです(笑)。
2003/06/01
ダービー・サンデー,午前11時にバスに乗って渋谷へ向かう。渋谷の場外馬券売り場は今日に限って500円単位でしか馬券を売らず,そのせいで買い目を制限される(資金が潤沢なわけぢゃないからね)。
1時頃渋谷から戻り,レースまでの間に映画を1本観賞。ロバート・アルトマン監督 「クッキー・フォーチュン」。大河ミシシッピ沿岸の田舎町,イースターもほど近いある日,ボケはじめていた老婦人クッキー(パトリシア・ニール)は,亡くなった夫への想いを募らせて衝動的に自殺してしまう。死体の第一発見者が日頃彼女と仲の悪かった姪のカミーラ(グレン・クローズ)とその妹コーラ(ジュリアン・ムーア),カミーラは「身内から自殺者が出るなんて一族の恥」とばかり強盗殺人を偽装し,知的障害のあるコーラにもその旨をきつく言い含める。
間抜けな田舎警察は巧妙とは言い難いカミーラの偽装にやすやすとひっかかり,同じ敷地内に住んでクッキーの世話をしていた黒人のウィリス(チャールス・S・ダットン)を逮捕する。コーラの娘エマ(リブ・タイラー)をはじめ,釣り仲間である警察官レスター(ネッド・ビーティ)など彼の無実を信じる者は多いが……。アルトマン一流の皮肉なシナリオと細かな演出。カメラは日本人栗田豊通。
3時を過ぎてハイビジョンで競馬を観るためカサギの家へ。1着ネオユニヴァース,2着ゼンノロブロイという結果。ワシは2着になったゼンノロブロイから流してたものの,1番人気のネオユニヴァースへの馬券は買っておらず都合4,000円のマイナス。馬連で720円のオッズぢゃ買えないよ,ワシには。
そのまま居座り,カサギのライブラリからジョン・フランケンハイマー監督作品「レインディア・ゲーム」を観る。いや,題名さえも知らず,ただ「まだ観ていないもの」ということで選んだのだがこれは拾いモノだった。オレはこういうドンデンの多い映画が結構好きなんだよね。
刑務所の同房で,同じ日に釈放されるはずだったルディ(ベン・アフレック)とニック(ジェームズ・フレイン)。ルディは家に帰ってクリスマスを過ごし,ニックはムショで文通を始めたまだ見ぬ恋人アシュリー(シャリーズ・セロン)と逢う予定……。ところが出所目前,食堂で暴動が起きてニックが刺し殺されてしまう。
2日後,刑務所を出たルディの目に飛び込んで来たのはニックを待つアシュリーの姿。ルディは出来心からニックに成り済ます,二人はモーテルにしけこんでよろしく……やれるはずだったがそうは問屋が下ろさない。アシュリーの兄ガブリエル(ゲイリー・シニーズ)が現れ,かつて警備員をしていたカジノを襲撃する手引きをしろと迫る。カジノの警備員をしていたのはもちろんニックでルディぢゃない。協力を拒めば殺すと脅され進退窮まったルディは……。
いやオレもかなりスレた観客だと自覚しているが,それでもこの結末には驚いた。脚本を書いたアーレン・クルーガーはこれが映画2本目,1本目はあのティム・ロビンスが恐かった「隣人は静かに笑う」で,このあと「スクリーム3」「クローン」と手掛け,最新作はあの「ザ・リング」である。なんだオレ,これで最新以外全部観たことになるんぢゃないか,へぇ。いや面白かった,参りました。
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